過去作品

□仕方ない
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 冬場はずっとこたつでぬくぬくしていたいものでしょ!
 ロイに対してそう叫べば、「馬鹿か!」と、冬場に使うコートを着こなしながら、私の前で仁王立ちをした。

「ネスやポポ、ナナ達がお前と遊びたがってんだよ。お前、一応年上だろ?」

「ロイと同い年でーす」

「知ってる」

 こたつの中に潜り込む私の前に、重々しいため息をつきながら胡座をかいた。ふとロイは、こたつの上に置かれていた食べかけの蜜柑に手を伸ばし、口に頬張った。私の…。しばらく口を動かしていたロイは立ち上がり、私の両手を掴んで引っ張りだした。

「出 る ぞ !」

「やぁああ!!誘拐だ!理不尽だぁ!」

「皆行ってんだよ!お前だけ行かないのも駄目だろ!?」

「嫌だ!行くくらいならマリオとルイージの髭引っ張って毟る!」

「それこそ駄目だろ!」

 ロイは力ばかり強めてくる。嗚呼、こたつが恋しいよ…!無理矢理マフラーを巻かれ、コートを着せられ、手袋を付けられた。私は雪なんて全くない世界から来たんだよ。夏しかないんだよ、寒いのは苦手なの!
 ヒーターの効いた部屋から出され、(未知の世界の)積雪の上をロイに手を引かれて、両手を上に上げて左右に揺らすネス達の元まで全力疾走。

「お兄ちゃーん!お姉ちゃーん!早く早く!」

「僕もう待ちくたびれたよ!」

「あたしもー!」

「ほら、ネス達が待ってたろ?」

 ロイはほらほら、と手を離して、背中を優しく押してきた。私は小さくため息をこぼした。

仕方ない
(子供たちの笑顔見たら、)
(文句言えないよ!)




 

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