過去作品
□虹色お絵かき
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「ららー…ら」
「くるみは、その色が好きだのう」
たいこうぼうお兄ちゃん!
ぱっ!子供ならではの無邪気な笑顔を輝かせ、手に持っていたクレオンを床に置き、太公望の制服のズボンにべったりくっついた。
「おかえりなさい!」
「ただいま。これ、くるみ。あまりベタベタするでない。汚れるぞ。」
「たいこうぼうお兄ちゃんは汚れてないよ?」
そういう意味ではない。
太公望は先程、天化と制服のままサッカーを一緒にして帰ってきたばっかりで、ぼろっとしてだらし無い格好をしていた。
小首を傾げるくるみに、太公望はため息を漏らし、「なんでもない」と漏らした。
「そうだ!きょうね、にじが出たんだよ!おそらいっぱいに!」
「ほう、だからクレオンで絵を描いておったのか。」
「うまい?」
「おお、上手に出来とるの。」
太公望は椅子に鞄を置き、くるみを右腕で包むように抱き上げ、左手で虹の描かれた紙を拾い上げた。
「綺麗だのう」
惚れ惚れしたような顔で、くるみと一緒に虹の絵を眺めた。
虹色お絵かき