過去作品
□気づかないで
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今日はぐずぐずとずっと泣いた。
目元が赤くなるまで泣いたからか、その部分だけジンジン痛みだしたのが分かった。
理由は単純。今までずっと好きだった彼にフラれたのだ。あぁ、悔しかった。
かと言って彼に未練がないこともない。むしろ未練がたらたらだ。
ぁあ、めんどくさい。
もはや山化したちり紙の山を、ごみ箱に八つ当たりみたいに投げた。
もう泣いてはないが、未だに頭をぐるぐる言葉が巡っていた。誰かの声が聞きたい。今すぐにこの声を消してほしい。
そこでふと頭に誰かが浮かんだ。
嗚呼、今すぐに・・・
――――---・・・・ガチャンッ
『あ、くるみさ?どうしたさ、こんな時間に?』
「・・・天化・・・・」
声を聞けたら落ち着いた。嗚呼、やはり暖かい。
勝手に話題を取り出してみた。天化は受話器の向こうで「馬鹿さね」と小さく笑ってくれたのが分かった。私も笑い声をもらしながら、再び泣いた。
せめて涙だけには気付かないで
「・・・・今から行くさ」
天化は優しく言った
私は返事も出せず、静かに頷いた