過去作品
□分かっていても、
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恋なんてすると思わなかった。
ましてや、それが私の倒す相手なんて、
思いたくなかった
「黄 天化!!貴様のその命、ダッキ様の為、絶たせていただく!!」
「こりずによく来るさね、くるみ!!」
敵だから、仕方なく命を狙う。でも
「たぁ!!」「はっ!!まだまださ!!」
刃を重ねる度、
「ッッ!!まだまだぁ!!」「くるみの生きの良さだけは合格さ!!」
言葉を重ねる度、
「よっと!!」「!??!!」
私の中の、奥深くに殺していた感情が、まるで呼び覚まされて行く。
天化はくるみの刀を弾き、詰め寄って首筋に刀をあてがった。
「ま・・・・負けた??」
「そうくるみの負けさ。」
その言葉に、ただただ黙り込んだ。
「・・・・・情けは無用だ。殺せ。」
結局、私はふがいない。
「ぁあ、あーたに言われなくても、そうするつもりだったさ。」
「でも、」そう言って、天化は刀をしまった。
「今にも泣きそうな女なんか、斬れるはずないさ。」
そう言って頭を撫でた。
分かっていても、駄目なんだ。
好きな気持ちに、嘘なんか出来ない