過去作品

□君園の睡蓮
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 淡々と修業ばかりしているくるみを窓から見掛けた。
 私は調度、ナタクの修理に取り掛かっており、生憎話し掛ける事は出来なかったが、しばらくの間、自信が抜き取られた感じがした。まるで花びらを撒き散らしながら舞うあの姿、そう、ナタクとはまるで違う蓮が見えた。

―――---・・・・・睡蓮だ

 そう、睡蓮。あの美しい舞は睡蓮だとすぐ解釈し、直ぐさまナタクの修理に取り掛かった。


 後ででも、くるみをお茶にでも誘おうか。そう思うと口元が何故か緩んでしまった。







「頑張ってるね、くるみは」
「あ、太乙様!!」


 子犬のように抱き着いてきて、顔をすりすりと服になすりつけてきた。少し苦笑いを浮かべながら、くるみの前にお菓子を見せた。


「頑張ってるご褒美に、お菓子を持ってきたよ!!一緒にどう?」
「勿論です!!頂きます!!」


 そう言うなり直ぐさま道具を片付けた。


「私を手伝うよ。」
「え、でも太乙様・・・・・」
「いいから、ね?早く片付けて食べよっか!」


 そう笑いかけるとくるみも笑ってくれた。また可愛いく笑ってくれたからか、自然と笑みがこぼれた。







「美味しいですね、このお菓子!」
「このお菓子、原始天尊様がくれたんだよ!」
「あぁ、道理で・・・・!!」


 お菓子は二色の黄色と茶色をしたクッキーだった。黄色のクッキーはほんのり甘く、茶色のクッキーはほんのり苦かった。くるみはたまに顔をにこやかにしたり、たまに苦しそうな顔をした。茶色のクッキーはきっとコーヒーなんだろう。独特の風味も口の中に広がった。


「にっがァい!!」
「そうかな?美味しいよ?」
「エエエエ?!苦いよ!!これかなり苦いですよ〜!!」
「・・・・・プッ」


 半分涙目で訴えながらも、クッキーを口にほうばるくるみが可笑しく、耐え切れず笑った。
 くるみは顔を真っ赤にして、私から目線を外した。


「そんなに苦いのが嫌いなわけ?」
「ええ。甘いのが好きなので・・・・」
「そう?じゃあ」


 そう言って私の甘いクッキーをくるみの苦いクッキーと交換した。くるみは戸惑いながらも受け取った。


「あ、ありがとうございます・・・・」





君園の睡蓮
「君は睡蓮みたいだね」
そう言うと
くるみは照れながら笑った







 
 

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