過去作品

□可愛いの
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 太乙を無理矢理引っ張り出して、私はある所へ向かっていた。太乙はあきらかに不思議な目で、私の顔を見ていた。
 当たり前ね、私から彼を誘うことなんてないものね。少しほっとした様にため息をついたら、太乙はひこずられている方の手に触れて、私の名前を呼んできた。


太乙『くるみ〜、ひ、一人で歩けるから〜(*_*;』
くるみ『いやよ』
太乙『本当だから〜(汗)』
くるみ『穴という穴にネギを突っ込まれるのと、このままでいるの、どっちがお好み?』
太乙『このままで結構です。』


 太乙はこれでもか、と言わんばかりに大人しくなり、私にひこずられながら無言に苦笑いを浮かべていた。










太乙『もういいかい?』
くるみ『そうね・・・・・・良いわよ』


 太乙は渋々立ち上がり、服に付いた砂を払いのけながら、目の前の絶景を見た。
 海が薄い紅を巻き、太陽が沈みゆくのが見えた。

 
くるみ『普通、こういうのは男の人が女の人に見せるものだけど、私のお気に入りの所だから、ロマンのカケラがなくても十分でしょ?』
太乙『・・・・凄い絶景だね。』


 太乙の言葉に私は小さく笑った。そして海に近付いて、


くるみ『海、は』
太乙『?』


くるみ『海は空の色を映してるのよ。だから海と空は一心同体なのよ、空が泣いた海も泣く、空が喜べば海も喜ぶのよ。』
太乙『まるで私達みたいだね。』


 太乙の言葉に私は驚いた様に太乙の顔を見たら、彼はゆっくり微笑みながら、私の方を見てくれた。
 私はほぼ無表情を保つのが、精一杯だった。
 しかし、

くっさい台詞を吐くわね、コイツ(←真顔)


くるみ『もう少し現状把握してから、甘い台詞を吐き出してみなさい。』
太乙『ひどっΣ( ̄□ ̄;』


 太乙は『せっかくの台詞なのにー』と落ち込んでいた。
 ・・・・・・フゥ


くるみ『まぁ、心に響はしたわ。』
太乙『・・・・・本当?』
くるみ『えぇ。多分』
太乙『予想?!』





『愛してるって言ったら・・・??』
『公然だったら殴るわ』
『公然じゃなかったら良いんだね?!』
『・・・・・・////』



 

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