過去作品

□知らない気持ち
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ムカムカする。


「でね、太乙さんが―――――」


イライラする。俺以外の名前を出すのに、


「・・・・・・??どうかしたの、ナタク?」


イライラした。
俺は顔を覗いて来たくるみと目線を合わせない様に、「なんでもない」と言った。


「なんでもない訳、ないんじゃない?
 目線合わせなさいよ。」


少し怒った様な口調だった。しかし、俺は「なんでもない」とだけ言った。


「め・せ・ん・は?太乙さんだって、言ってなかった?」


胸に針が刺さる感じが、何度もあった。太乙と名前を出される事が・・・・・・他の奴の名前を出すことが、気に食わない。
俺はイライラが増すばかりだ。


「・・・・・まれ。」
「へっ?」
「黙れ!」
「何でよ!黙る理由なんてないよ!」


くるみは声を張り上げ、俺に突っ掛かってきた。


「ムカつくからだ!」
「私、ナタクにムカつく事してない!・・・・気がする(ボソッ)」
「俺にはある!!」
「私にはない!!」


互いに声を張り上げながら、口論ばかりした。「ある」「ない」の連続。ついにくるみが、俺に近寄って来た。


「じゃぁ、私がナタクにムカムカさせた原因を言って!!」


鼻と鼻が触れ合う(に程遠いが)ぐらい、見上げてきた。
変に胸が高鳴る感じがした。


「言ったからだ!!」
「もう、何をよ!!」
「くるみが、俺の前で俺以外の名前を、出したからだ!!」
「・・・・・・・はい?」


するとくるみは、気の抜けた様な表情をし、静かに下を向いた。


「ナタク・・・・・・それ程、馬鹿だったとは、思わなかったよ。」
「・・・・・・・ムッ。」


くるみは顔を両手で隠した。
俺には、良く分からないが・・・・・何故だか、胸が晴々していた。


知らない気持ち

「ところで何故、他の奴の名前を聞きたくないんだ?」
「・・・・・(鈍感?)」





 

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