過去作品
□閉ざされた扉
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「太公望。」
「むっ、何だ?」
いつもより凛と、はりのある声。太公望はフと、裏がありそうなのを察した。
くるみは太公望と目線を合わせ、口を開けた。
「別れよっか」
「………はっ?」
突然の言葉に太公望は言葉をなくした様な、衝撃が走った。実際にも太公望は言葉を失い、口をぽかんと開けていた。そんな太公望を横目で、くるみはまだ喋り続けた。
「明日から他人でいよっか。だから今までの事はお互い忘れてよう。」
「なっ、いきなり何を申すか!!根拠を言わぬか、根拠を!!」
「理由はないよ。そう思っただけ。」
そう言って太公望から顔を背けた。そして扉に向かって歩き始めた。
「待て!!」
くるみの前に立ちはだかり、太公望は行く手を阻んだ。
「わからぬ、わしには分からんのだ!!わしの何が悪かったのか、わしのどこがいけなかったのか・・・ッッ!!」
「太公望は、どこも悪くないよ。」
さっきまでピリピリしていた表情ではなく、今度は優しい表情で太公望に接した。
そして、太公望の頬に触れた。
「太公望はいつもと変わらない優しさがあった。人一倍信頼や正義感が強くて、私の自慢の彼氏だったよ??でもね、今は戦乱の世。いつ死んでも可笑しの。だからサヨナラ。」
太公望は反抗もせず、ただ震える声で囁くくるみの言葉に、ただ耳を傾けた。
そのままくるみは太公望の隣を素通りし、扉に触れ、閉めた。
「――――。」
太公望はただ、その場に立たずみ、扉の方へ向いた。
閉ざされた扉 「なら守ってやる。」閉ざされた扉の奥から
太公望の声が聞こえ閉まった扉のドアノブが回った。