ちょっとしたお礼

□おまけ
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ギルバートさん誕生日記念作品。おめでとう雄ゴリラ!!ヾ(^▽^)ノ

◇◆◇◆◇◆

ラウンジへ向かう途中、ふいと、背中に何かが当たった感触を感じた。
だが、大したことはないかと気にせず一歩足を踏み出せば、きゃあ!と背後から短い悲鳴が耳に届く。

ギルバートが怪訝に振り替えると、そこには自分の腰にしがみつき、引き摺られるような体勢になっているミウの姿があった。

「……何してんだ、お前?」

毎度の事ながら、この副隊長殿は不可解な行動を取る。
何のつもりかと腰元のミウに問えば、彼女は気恥ずかしいそうに顔を紅らめながら、こちらを見詰めた。
ミウは見る間に目線をさ迷わせる。

「あの…嫌…でしたか?」

「は?何がだ?」

何の事か分からず問い返せば、彼女の顔は益々紅くなる。

「あの…えっと…その、男の方は女性に後ろからハグされると喜ぶと…聞いたものですから…」

「は?何だそりゃ?誰から聞いた?」

と、聞いて直ぐ様ソレが愚問だった事に気付く。コイツにこんな馬鹿な入れ知恵をする奴なんて決まりきっている。
案の定、ミウは、

「ハルオミさんです」

と、思った通りの名を上げる。

「はぁ…まったく、あの人は何やってんだか…で、お前は何でこんな事してんだ?」

担がれたとはいえ、何の目的があってこんな真似をしているのか。
すると、ミウは思ってもいなかった事を口にした。

「今日はギルバートさんの誕生日でしょう?私、貴方に喜んでもらえるような事がしたかったんです」

真っ直ぐにこちらを見据える榛色の瞳。
真摯なその眼差しにドキリと胸が高鳴った。

好意とも取れるような厚意に、分かってはいても勘違いしてしまいそうになる。

ギルバートは熱くなり始めた顔を隠すように、彼女から顔を逸らす。

「…バーカ」

照れ隠しに一言、ミウにそう返せば、心裏を解した彼女は嬉しそうに微笑みながら腰に回した手に力を込めた。

「誕生日プレゼント、何がいいですか?」

小首を傾げ可愛らしく尋ねてくるミウの姿に、微かに悪戯心が擽られる。

そうだなぁ…と、勿体ぶるように言葉を濁しながら、周囲に目線を巡らした。

人はまばら、こちらの様子を気に止める者もなし。

ならばと、ギルバートは腰に回されたミウの手を取るや、彼女の身体を胸へと引き寄せ、その小さな唇にほんの軽く自らの唇を重ねた。

「これで十分だ」

固まるミウにそう微笑み掛けて、自分はラウンジへと早々に逃げ込んだ。
一瞬だけ顧みた彼女の顔は火が出そうなぐらいに紅かった。

もしも…

もしも、次の誕生日も彼女と迎える事が出来たなら、その時は、彼女からの口付けが欲しいものだと…
そんな高望みを胸に抱きながら、ギルバートは面映ゆく帽子の鍔を引き下げた。

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