ちょっとしたお礼

□おまけ
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ギル誕生日記念作品!!っていうか、危うく忘れそうになったけど…ギルバートさん、お誕生日おめでとう!!ヽ(≧▽≦)/

◇◆◇◆◇◆

「…違う、そこじゃねぇよ。人差し指はここ、中指はここだ」

「えっと…こう…ですか?あれ?違うかな…うう…」

アコースティックギターを腕に抱えながら、ミウは必死になってコードを押さえていた。
懸命な彼女の様子をギルバートは横目で見遣りながら、今さらながら怪訝に思う。

それはラウンジでギターのチューニングをしていた時だ。

『あの!ギルバートさん、私にギターの弾き方を教えていただけませんか!!』

そう、息巻き詰め寄るミウは、ギターの手解きを自分に頼み込んできた。
ぬいぐるみ集めが趣味な乙女思考な彼女が、何故、"アコギ"などの男くさい趣味に興味を抱いたのか、全く以て謎ではあるが、どうしてもという彼女の熱意に押し負けて仕方なしに教える事とした。
だが…

「だから…違う…そこじゃなくてここだ」

と、指摘しては見当違いな場所を押さえる彼女の指を正しい場所へと戻すを、この一時間繰り返している。

軽くため息を吐けば、傍らのミウは申し訳なさそうにして、こちらの顔を見上げた。

「…す、すみません…出来の悪い生徒で…」

悄々と彼女の"犬耳"が伏せられる様を見遣り、思わず吹き出しそうになる。

「別に怒っちゃいねぇよ。お前はずぶの素人だろ?ついさっきギターに触れた人間に完璧なんて望んだりしねぇよ」

「あぅ…でも…上達してませんよね…ううん…どうしたらいいんでしょう…」

早く弾けるようにならなきゃいけないのに…と、ミウは憂えるように自らの手元を見詰めた。

彼女の手は東洋人の女性らしく、小さく指もあまり長いとも言えない。なので、コードを押さえるのも難しいのだろう。

まあ、音楽は偏にセンスが問われるジャンルであるから、身体的な不利があっても素晴らしい演奏をする人間はいるにはいるが…どうにも、彼女にはその素質もないようだ。

ならば素養で補うべきだが、ミウは今すぐにでも弾きこなせる実力が欲しいらしい。

普段、呑気な彼女が性急になる理由が少しばかり気になる。
訝しむギルバートは率直にその辺りの事を彼女に尋ねてみた。

「なあ、何でそんなにギターが弾けるようになりたいんだ?」

すると、途端にミウの視線が泳ぎ出す。

「え?えっと…それはまだ内緒です。でも、どうしても今日中に弾けるようになりたいんです」

力を貸していただけませんか?と、彼女は酷く決まり悪くそうに再度、自分に頼み込んだ。
どうやら、理由は話したくないらしい。

「まあ…いいが…今日中にってのは難しくないか?」

ラウンジの置時計に目をやれば、既に日付が変わるまで一時間を切っている。
この調子で指導しては、今日中という彼女のリクエストは無理なように感じた。
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