過去おまけ掲載文

□おまけ
2ページ/2ページ

「ほら、早くお菓子を渡さないとイタズラするよ?」

口の端を意地悪く引き上げて笑いながら、催促するように博士はそう言った。

「えっ!?き、急にそんなこと言われても…私、お菓子なんて持ってません…」

「あるだろ?君のその口の中に。」

「ええっ!?」

ピッと指を指し向けられて、彼が何を言おうとしているのか、それで気が付いた。

「ああ、勿論、口移しでね?」

ニコリと笑われ、釘を刺される。…先手を打たれてしまった。

「ほら、早く。それとも君は僕からの『イタズラ』をご所望かな?」

それは…勘弁です。

彼からの行為は、キスだけじゃすまなくなるから…

「‥わ、分かりましたよ…」

諦めのため息を吐き、ユウは観念すると、ソファーに座る彼の前に進み出た。

向かい合わせになり、彼の肩に手を置いて、おずおずと顔を近づけていく。

「…ん…」

軽く触れ合う唇。
次第に繋がりを深くしていき、唇を割り互いの舌を絡ませる。

「…ン…はぁ‥ふぅ…んっ…」

舌とアメが互いの口内で、激しく行き交っていく。

そのキスの甘さに、腰が砕けそうになるのを、博士の大きな手がそれを支えた。

彼に腰を引き寄せられれば、更に繋がりは深くなる。

「…ンッ…ンッ…はぁ…っ…」

長い長いキス。
アメと自分を十分堪能すると、彼の激しい攻めからようやく解放された。

「…はぁ…はぁ…」

酸欠で頭がぼうっとする。

放心したままでいると、飲み込みきれずに口の端から溢れた唾液を、博士に舌で掬い取られ、ペロリといやらしくそれを舐められた。

「ご馳走さま。」

満足そうに満面の笑みを向けられ、恥ずかしくて彼の胸に顔を埋める。

「ふむ、こういうハロウィンも、たまにはいいね?」

「…私は‥普通のでいいです…」

この人に掛かると、聖なる日もいやらしい行事に変わるらしい。

これからは、気を付けよう…

そうは思っても、きっと無駄な抵抗になるのだろうなと、ユウは心の中で密かに嘆いた。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ