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□おまけ
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クリスマス記念作品。
本編設定。無印終了後辺りの話。博士とは恋人設定。
◇◆◇◆◇◆
焼き餅を焼かれるのも、男冥利に尽きると言えるのかもしれないが…
流石に…これは参るね…
今、置かれている困った状況に、サカキは頭を抱えた。
理由は目の前にいる彼女。
自室のソファーの上で、クッションを抱えながら、
ユウが恨めしそうにこちらを睨んでいる。
「…いい加減、機嫌直してくれないかい?」
「…別に‥機嫌、悪くなんてないです…」
そう言うと、ユウはプイと顔を自分から背けた。
そんなフグみたいに頬を膨らませていては、何の説得力もないだろうに。
はぁ‥と、今日何度目かのため息をサカキは吐く。
この状態を、かれこれもう一時間ばかり続けている。
まあ…彼女の不興を買った原因は、自分にあるのだが…
「ユウ…せっかくのクリスマスなんだし、そんな不貞腐れてないで…」
「……クリスマスなのに、恋人以外の人と抱き合うんだ。」
顔を背けたまま、ちらりと険しい瞳を向けられた。
あぁ…やっぱりその事でか…
一週間ほど前、本部からこの極東支部に監察官が派遣されてきた。
エイジス計画の凍結に至った経緯と、その非がこの極東にあるのかを調べる為だ。
その辺りのことは、予めこちらで手を回しておいたので、事なきを得たが、問題が発生したのはその後。
監査官が本国に帰るその日、別れの抱擁を交わしていたところを、彼女に見られてしまったというわけだ。
自分としてはハグをしただけなんだが、それがユウは気に入らなかったらしい。
その監査官が女性だったのも、不味かったようだ。
「別れの挨拶をしていただけだろ?君が勘繰るようなことは、彼女とはないよ。」
そんなこと、聞かなくても分かることだろうに。
けれども、ユウは顔を背けたまま『どうだか…』と、こちらの話に聞く耳を持たない。
「…この一週間、私、殆ど部屋から出させてもらってないですから…
博士が外で何してても分からないですもん。」
「それは…仕方がないだろう?本部から来た人間と、君を接触させるわけにはいかないじゃないか。」
まったく…こっちはユウの存在がバレるのではないかと、気が気でなかったというのに、
そんな風に思われているとは、なんだか泣けてくる。
そう、こちらの理屈を話すと、ユウは背けていた顔を向き直し、キッと自分を睨み付けた。