過去おまけ掲載文

□おまけ
1ページ/3ページ

クリスマス記念作品。
本編設定。無印終了後辺りの話。博士とは恋人設定。

◇◆◇◆◇◆

焼き餅を焼かれるのも、男冥利に尽きると言えるのかもしれないが…

流石に…これは参るね…

今、置かれている困った状況に、サカキは頭を抱えた。

理由は目の前にいる彼女。

自室のソファーの上で、クッションを抱えながら、
ユウが恨めしそうにこちらを睨んでいる。

「…いい加減、機嫌直してくれないかい?」

「…別に‥機嫌、悪くなんてないです…」

そう言うと、ユウはプイと顔を自分から背けた。

そんなフグみたいに頬を膨らませていては、何の説得力もないだろうに。

はぁ‥と、今日何度目かのため息をサカキは吐く。

この状態を、かれこれもう一時間ばかり続けている。
まあ…彼女の不興を買った原因は、自分にあるのだが…

「ユウ…せっかくのクリスマスなんだし、そんな不貞腐れてないで…」

「……クリスマスなのに、恋人以外の人と抱き合うんだ。」

顔を背けたまま、ちらりと険しい瞳を向けられた。

あぁ…やっぱりその事でか…

一週間ほど前、本部からこの極東支部に監察官が派遣されてきた。

エイジス計画の凍結に至った経緯と、その非がこの極東にあるのかを調べる為だ。

その辺りのことは、予めこちらで手を回しておいたので、事なきを得たが、問題が発生したのはその後。

監査官が本国に帰るその日、別れの抱擁を交わしていたところを、彼女に見られてしまったというわけだ。

自分としてはハグをしただけなんだが、それがユウは気に入らなかったらしい。

その監査官が女性だったのも、不味かったようだ。

「別れの挨拶をしていただけだろ?君が勘繰るようなことは、彼女とはないよ。」

そんなこと、聞かなくても分かることだろうに。

けれども、ユウは顔を背けたまま『どうだか…』と、こちらの話に聞く耳を持たない。

「…この一週間、私、殆ど部屋から出させてもらってないですから…
博士が外で何してても分からないですもん。」

「それは…仕方がないだろう?本部から来た人間と、君を接触させるわけにはいかないじゃないか。」

まったく…こっちはユウの存在がバレるのではないかと、気が気でなかったというのに、
そんな風に思われているとは、なんだか泣けてくる。

そう、こちらの理屈を話すと、ユウは背けていた顔を向き直し、キッと自分を睨み付けた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ