過去おまけ掲載文
□おまけ
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ハロウィン記念作品。
博士×主人公。本編設定です。
※微裏寄りな話、苦手な方はバックをお願いします。
◇◆◇◆◇◆
「…?ユウ、何を食べてるんだい?」
ソファーに座り、静かに本を読んでいた博士に、そう問い掛けられた。
もごもごと、自分が口を動かしていたのが、どうも気になったらしい。
「のどアメれす。」
口にものが入ったまま喋ったので、何だか間抜けな口調で返答をしてしまう。
「のどアメ?風邪でも引いたのかい?」
「んっ…いえ、少し喉が痛いだけで、風邪ではないと思います。」
「…くっ‥ふふっ、まるで小リスだね。」
自分の姿を見て、口許に手を当てながら、声を圧し殺すようにして、クククッと喉の奥で博士に笑われる。
口にしたアメを頬の奥に押し込めて、ちゃんと話せるようにしてみたが、
押し込めた分、リスの頬袋のようにプクリと膨らみ、今度は顔が間の抜けたものになってしまったようだ。
「もう…笑わないでください。
博士が食べてる途中で、話し掛けるからでしょ。」
「はは、ごめん。君のその姿が、あんまり可愛くて微笑ましかったものでね。」
博士は読んでいた本を、パタンと閉じると、テーブルの上にそれを置き、こちらに体を向き直す。
「そう言えば、今日はハロウィンだったね。」
「ええ、そうみたいですね。」
今日は十月三十一日。
キリスト教でいう諸聖人の日の前夜祭にあたる。
この日はアナグラ内も、いつもよりも賑やかだ。
トリック・オア・トリート。
ハロウィンの恒例行事。
外部居住区の子供達が、お菓子を貰いに街を練り歩く。
当然、アナグラにも子供達はやって来るわけだ。
お菓子をくれないと、いたずらするぞ。
そんな言葉を口にしながら、自分も施設の子供達と歩いた記憶がある。
「Trick or Treat。」
「えっ?」
突然、博士がその言葉を口にした。