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□おまけ
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無印後とburstの間あたりのソーマとのifのお話。無印のエンディングのシーン捏造。
◇◆◇◆◇◆
「…月、キレイだね?」
鎮魂の廃寺で、ミッションを終えソーマと二人月を見る。
「…ああ。」
静かにそう言って、蒼い月を見た後、彼は自分の手にする神機に目をやった。
黒色から純白へと変貌した神機。
それは、彼の心を変えたあの娘を象徴しているようで、見ていると胸が痛くなった。
かぐや姫は月に帰った。
でも、彼の心も一緒に連れていってしまったのではないかと、
最近のソーマの様子を見るとそう思ってしまいそうになる。
「…シオに…会いたい?」
ふと、そんな言葉が口をついて出た。
本当は、そんなこと聞きたくもなかったのに。
「まあ…な。これを見ると否応でも、あいつのことを思い出す…」
愛しそうに白い神機を撫で、ソーマは穏やかな声でそう言った。
「…っ。」
彼のその姿が見ていられなくて、顔を伏せる。
ダメだ…泣きそう…
「…ソーマは…シオのこと‥好きだった?」
「………は?」
唐突な、自分の質問にソーマが聞き返す。
浅ましい考え。
そう質問して、彼が否定してくれることを、望んでいる自分が嫌になる。
「…やっぱり、お前は馬鹿だな。」
「………」
「馬鹿な上に、お人好しで無鉄砲、おまけに…鈍い…」
散々な言われよう。
堪えていた涙がこぼれ落ち、積もった雪を溶かした。
「……もういい‥私、先に帰る。」
踵を返しソーマに背を向け、去ろうとした時、
「きゃあっ!!」
後ろから手が伸びて、気が付けば彼に抱きすくめられていた。
「それに…人の話も最後まで聞かない。」
「…ソーマ‥?」
顎に手を置かれ、強引に彼の方に顔を向かせられると、優しく口付けされる。
「……んっ…ふ‥」
ついばむようなキスから、次第に深いものへ。
頭が真っ白になるころ、ソーマはようやく離してくれた。
「…そ‥ま…」
「俺が好きなのはお前だ。シオじゃない。」
優しく自分に笑いかけながら、彼は一番欲しかった言葉を自分にくれた。
「…お前は?」
「私も…ソーマが好き!大好き!!」
彼の首に手を回し、今度は自分から口付けをする。
中天にかかる蒼い月が、優しく二人を照らしていた。