黎明の夢 外伝

□intermission-2
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指摘されたことに驚いた。そんなにも分かりやすく、感情が表に出ていたとは…

不安…
自分はあの子に知らず不安感を与えていたのだろうか?


ペイラー…このままじゃ…あなたの方が死んじゃうよ…っ


ふいと、彼女のそんな声が頭に響いた。

それは何処で聞いた言葉であったのか。
はっきりとは思い出すことは出来ないが、彼女が泣きながらこの手を取り、自分に向け悔恨の言葉を掛けていたことだけは覚えている。

…ユウ。

何も分かってなかったのは自分の方だったのかも知れない。
自らの痛みにばかりかまけ、自分は彼女の痛みを解することをしなかった。

――ユウっ!!

「……っ!?」

「お、おい!?」

酒気で頭に掛かっていた霞が一気に消え、サカキは自分の足で立ち上がろうとするが、頭は冴えても酩酊した身体は思うようには動かない。
バランスを崩し、床に倒れかけたその時、

「だらしねぇぞ、おっさん」

崩れ掛けた身体を、知己によく似た面差しの青年に支えられた。

「……ソーマ?」

ソーマは自分を担ぐようにして肩を貸すと、傍らに佇むゲンを一瞥する。

「世話掛けたな、じいさん。コイツは俺が部屋まで送り届ける」

「…お、おうよ、そいつは助かるが…珍しいな…
お前がそんな風に、先んじて誰かの介抱をするなんてよ」

「ふん…ただの気紛れだ。じゃあな」

変わらぬ素気無い態度で応えれば、ソーマは自分を連れ立ちカフェテリアを後にした。


◇◆◇◆◇◆


「………」

「………」

沈黙が中々に痛い。
ソーマとは親しい間柄ではあるが、お互いこんな接し方は今までしたこともなかったので、どんな風に話し掛ければよいのか正直分からない。

重い身体を彼に預けながら、その顔を見遣れば彼の姿にかつて自分が敬愛した二人の面影が重なった。

背はヨハンと同じくらいか。目鼻立ちはアイーシャによく似ている。

辛辣な言葉を口にする時、口の端を意地悪く引き上げる様はやはり父親似。
けれど、時折、思いもよらない角度から物事を切る様は母親のそれで、その度にこの青年には驚かされたものだ。
春を共に過ごした、懐かしいあの二人の忘れ形見…

「…ふ…ふふふっ」

かつての日々を懐古し、口許を崩し笑うと肩を貸りる青年に不快そうに眉を顰められた。
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