黎明の夢 外伝
□最悪の再会
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躙り寄り、動けない彼に止めを刺そうと、アラガミが腕を掲げたその刹那、
ドォウン!!!!
足止めをするように、上空から砲撃が見舞われた。
降下するユウの砲撃。
一発、二発、三発とボム系のバレットで全力射撃をすれば、衝撃で身体が浮き落下するスピードが次第に落ちていく。
地表すれすれ、最後の一発を打ち放つと、銃撃の反動で落下のベクトルが相殺され身体がふわりと宙に浮いた。
対峙する彼らの間に割って入るように、そのまま地面に着地し体勢を整え神機を剣へと転じさせるや、ハンニバルに牽制の刃を向ける。
「タツミさん、大丈夫ですか?」
ユウが背後のタツミを一瞥すれば、彼はこれでもかというほど目を見開いて驚いていた。
「ユウ!?お前、なんつー登場の仕方してんだよ!?」
「あははっ、すみません。ちょっと、派手すぎましたか?」
呑気に軽口を叩き、応えを彼に返すと、黒いハンニバルが動きを見せる。
ハンニバルはぐっと拳を握り締め、こちらに向けて殴り掛かってきた。
「ユウっ!!」
「くっ!?」
ユウは肉薄する拳を、素早く展開した装甲で受け止める。
ガンッ!!!!
盾と矛がかち合う硬質な音が響き、装甲を支える腕に骨に響く程の衝撃が走った。
「――!?」
衝撃は腕だけではない。
身体を頭を駆け抜ける不可思議な感覚。
視覚が、聴覚が、触覚が、五感全てが別のモノへと塗り変わる。
そんな!?どうして!?
記憶、感覚の錯綜現象。
神機使い同士を繋ぐ筈の感応現象が、今、アラガミと自分の間で起ころうとしている。
何故と頭に浮かぶ疑問に、答えが出ぬまま、ユウの意識はそれへ、アラガミの中へと持っていかれた。
――――…
―――…
――…あつい…暑い…熱い…
右腕が…身体が…燃えるように、焦がすように熱くて堪らない。
雪が舞い、身体を濡らすほど降り注がれていても、内に溜まる熱は冷めることはなかった。
『…ぁ…ハァ…ハァ…』
荒い息遣いが聞こえる。
踏み締める雪の音は酷く重々しく、この人の歩みが覚束ないものとすぐ知れた。
視野がやけに狭い。
脈打つように赤く視界が点滅し、その度に頭を割られるような頭痛に苛まれる。
苦しい…