黎明の夢 外伝

□hide and seek
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「駄目です…お二方共、作戦行動中で応援に向かうことが出来ません…
タツミさんが率いる部隊も遠方エリアへの出向で、煉獄の地下街に着くまでには時間が掛かります…」

「私がアネットを連れて出ます!!アネット、いいですね?」

「はい!お供させてください!」

「なら、私も付いてくわ。血が見足りないと思ってたから」

アリサ、アネット、ジーナの三名が応援部隊として名乗り出る。

場数を踏んだ神機使いであるアリサとジーナならば、敵を屠ることが出来なかったとしても、ブレンダンを保護し帰還することは可能な筈だ。
だが、ヒバリが次に告げた事実に、その可能性は儚くも消える。

「…!?待ってください!!
unknownのデータベースでの照合が完了しました!
対象は…第一種接触禁忌種ツクヨミ!?」

指定接触禁忌種の名が出たことに、アリサ達は思わず息を呑んだ。

駄目だ…

ブレンダンは恐らく負傷している。
いくらアリサ達が練達の神機使いであっても、指定接触禁忌種が相手では、負傷者を抱えて撤退することは不可能に近い。

「ヒバリさん…確かコウタは今日、非番でしたよね?」

「…え、ええ…そうですけど…」

ユウは彼が不在であることの確認を取ると、ヒバリに向けてあることを頼んだ。

「なら、出撃コードは空いてますよね?コウタと私のコードをすり替えて、私の神機のロックを解除出来ませんか?」

「えっ!」

「なっ!?リーダー!!出撃するつもりなんですか!?」

罪の上塗りを敢えてしようという自分に、アリサが目を見開き驚愕する。

謹慎中の身分で命令に背き、不当な行為で出撃などすれば今度こそ首が飛ぶ。

分かっている。そんなこと十二分に分かっている。
だけど、今はそんなことを言っている場合じゃない。

「違法行為を強いているということは、重々承知しています!でも、お願いします!人命が掛かってるんです!!ヒバリさんには、絶対に責任が及ばないようにしますからっ!」

ユウはヒバリに深々と頭を下げて懇願した。
彼女は暫し返答に思い悩むがやがて、

「分かりました…データの改竄に協力します…
けど…ユウさん、軍規違反の責任の一端は私もちゃんと担いますよ?」

『一人で背負い込むなんて、水臭いこと言わないでください』と、彼女はそんな嬉しい言葉を自分に掛けて、ちょっと困った顔で微笑んでくれた。

自分達のその様子を端で見ていたジーナが、不意に愉しげに笑い出す。
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