黎明の夢 外伝

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エントランスに辿り着けば、そこには呆然と佇むアネットの姿があった。

アネットに声を掛けると、彼女は半泣きの顔でこちらへ追い縋ってくる。

「先輩!先輩!わた、私…どうしたら…っ!!」

余程、気が動転しているのだろう。微かに嗚咽を含んだ彼女の言葉は、およそ要領を得ない。

ユウは宥めるようにして、アネットの肩を軽く叩いた。

「落ち着いて、アネット。大体のことは聞いているけど、先ずは状況説明。
何があったの?」

彼女は一、二度深呼吸をして、高ぶった気を抑えると、とつとつと事の経緯を話し始める。

「…私…ブレンダンさんとカノンさんに付いて、捜索任務に出てたんですけど…その任務中、煉獄の地下街で見たこともない人型のアラガミと遭遇したんです…」

アネットはその時の情景を思い起こしたのか、顔を青くさせ、ふるりと肩を震わせた。

「そいつ…物凄く強くて…っ…必死に応戦したんですけど…全然…勝てなくて…撤退しようとしたんですけど…すぐに追い付かれて…お二人は…私を…逃がす為に…ふっ…ごめんなさい!わた…私の足が遅かったから…カノンさん達は逃げられなかったんです!!」

そこでアネットは床にへたり込むと、泣き出してしまう。これ以上、彼女から委細を聞き出すのは酷なことだろう。
ユウはカウンターに控えるヒバリに目を向けた。

「ヒバリさん、二人のビーコンの反応はどうなってますか?」

ヒバリはこちらの問いに、コンソールを操作し素早く対応するも、モニターを見詰める彼女の顔は次第に曇っていく。

「…すみません…出力が弱くて反応を上手く捉えられません…ですが、生体反応は健在です。…あれ?」

ヒバリはモニターに目を凝らすと、怪訝な眼差しをそれに送っている。

何かしらの反応が返されたのだろうか?

固唾を呑み彼女の言葉を待っていると、

「アナグラ内にビーコンの反応あり!これは…カノンさんのものです!!」



ガタンッ!!


そう告げたのとほぼ同時。大きな音を立て、出撃ゲートが突然開け放たれた。
一歩、二歩。
ふらりと、覚束ない足取りでこちらへと歩み来るその人は…

「カノンちゃんッ!?」

全身傷だらけのカノンが、生きも絶え絶えにして帰還してきた。

彼女はこちらの姿を確認すると気が抜けたのか、支えを失った人形のように身体が床へと倒れていく。
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