泡沫の夢
□chicken heart
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リッカはそう言って、ニッと愉しそうな笑みをこちらに向けた。
「何たって、はっきりと自分の口で言ったんですから。『あの人が欲しい』って。」
「…ぐっ!?」
その直情径行な言葉に、顔が熱くなった。
不味い…この年で赤面するなど、カッコ悪いを通り越して、気持ちが悪いだろう。
痴態を見せぬよう、サッと顔を伏せ、手でそれを覆った。
それでも隠しきれるものではなく、晒されているサカキの赤い耳を見て、
リッカはまたニヤニヤと意地の悪い笑いを見せる。
「その様子を見る限りだと、勝負はユウにありそうですね?
博士、無駄な抵抗はやめて、さっさとあの子に撃ち墜されちゃってください。」
『それじゃあ、書類ここに置いてきます』と、好き勝手な事を言うだけ言って、リッカはラボを出ていった。
あー!まったく!!
意を決して決別したことが、先程の言葉で振り出しに戻された気分だ。
「…僕にどうしろって言うんだ…」
ソファーに凭れ掛かり、嘆くように顔を両手で覆うと、サカキは弱腰な言葉を呟いた。