泡沫の夢
□個人レッスン
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バサッリとした発言。
やはり、こいつはネジが飛んでそうだ。
「大体、なんで俺がそんなことしなきゃならない?
してやる義理もないだろうが?」
「ケチ臭いなぁ…同じアサルト使いなんだし、少しぐらいいいじゃない。減るもんじゃないんだし。」
それが、教えてもらう方の態度か?
「俺の時間が減る。俺の気力が減る。分かったら帰れよ。」
シッシと、手で追い払うポーズを取ると、ユウは焦ったように食い下がってきた。
「わっわっ!ちょっと待って!ごめんなさい!さっきの無し!!
お願いします!教えてください!」
「…お前、何でそんな必死なわけ?」
誰に何を言われても意に関せず、自分街道まっしぐらなこいつが、
人の顔色を窺ってまで食い下がる理由が気になった。
ううっと、言葉を詰まらせユウは話すことをためらっているようだったが、
やがて諦めたのか、ため息を吐き、重い口を開いた。
「…だって、少しでも強くならないと……ない…」
最後の方は、声が小さすぎて聞き取りにくかったが、『約束を守れない』そう言ったようだ。
…はー、なるほどな。
こいつは、あの時立てた誓いを守るために、力をつけたいらしい。
「随分と虫がよすぎやしないか?
自分でやると決めたことは、自分の力だけで解決するのが筋だろ。
お前の勝手に、俺を巻き込むな。」
珍しく正論を言ってるなと、自分でもちょっと驚く。
それは、こいつにも分かったらしく、黙ったまま顔を俯かせている。