黎明の夢 外伝

□最悪の再会
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ユウはタツミに応えを返せない。
呆然と、彼が去って行った獣道に目を向けたまま、縛られたように指一本動かすことが出来なかった。


『リンドウさんの足跡を辿って、運良く彼に出会えたとしましょう…もし…その時、彼がアラガミになっていたら…どうしますか?』


かつてレンが自分に問うた覚悟の言葉。
それが今、現実の問題として、自分に突き付けられる。


『貴女はその"アラガミ"を殺せますか?』


人としてではなく、自分達に仇なす敵として彼を殺すことが出来るのか。
逡巡する余地はなく、答えは直ぐ様出さねばならない。

……リンドウさん…

彼に突き立てることになるかも知れない自らの半身を握り締め、ユウは見えなくなってしまった彼の背中をずっと…ずっと探すのだった。
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