黎明の夢 五章
□極秘任務
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「う〜ん…」
短く唸りを上げ、寝返りを打つと、ギシリとベッドが軋み音を立てる。
一枚のディスクを翳し、寝転がりながらユウは、それをぼんやりと眺めていた。
忍ばせるように、自分に渡された博士からの手紙。
それを『開封』するか、否か、ユウは迷っていた。
どうしよう…
わざわざ、自分に手渡すのだから、彼にとって見て欲しい何かが、この中かにあるのだろう。
けれど、それに素直に従うのは気が引けた。
こんな回りくどいことをする理由が分からないし、何より試されているようで、何だか嫌だった。
言いたいことがあるなら、直接口にすればいいのに…
彼に信用されていないようで、少し傷付く。
ヒラヒラと、手の内でそれを遊ばせていると、ナイトテーブルの上の携帯端末が、メールの着信を知らせる。
誰だろ?
身を起こし、それに手を伸ばすと届いたメールの確認をした。
「あっ」
差出人は博士からだった。
知らないかい?という件名から始まる、それの本文を読み進めていく。
『ちょっと、とあるディスクを落としてしまったみたいなんだ。もし、見つけたら僕のところまで届けてくれないかい?
ああ、中身は勿論見ないでおいてね』
………
まるで図ったようなタイミング。
これは『ディスクを見ろ』という、博士からの催促なのだろう。
…本当に狸だなぁ…
リンドウが言っていたことが、今になって理解できた。
自分でそれを渡してきた癖に、落としたなどとは…よくも恥ずかしげもなく言えたものだ。
見ないで返しちゃおうか?
そんな反抗心が、微かに頭を擡げたが、こんな切り出し方をされては、逆に気になり、好奇心がそれを抑え込んだ。
好奇心が強い割りに、警戒心が薄い。
ついこの間掛けられた、博士の言葉を思い出す。