黎明の夢 四章
□届かぬ心
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カウンターにずらりと並べられたオーダー表を、順に目を通しながら、
思案するように、むぅと短い唸りをユウは上げていた。
続けられる、アリサとの実戦訓練。
最初こそ、まともに動くことの出来なかった彼女も、最近では銃を扱えるまでに回復していた。
このまま、実戦を経験していけば、復帰の日も然程遠いことではないだろう。
…さて、今日はどれにするか…
アリサのリハビリ相手をこうして物色中な訳だが、どうもちょうどいい相手が見つからない。
今あるフリーミッションは、ボルグカムラン一体の駆逐、クアドリガの討伐任務、そしてコンゴウ、グボログボロとの複合戦だ。
カムランを相手にするのは、些か早すぎる。
あの蠍の騎士の攻撃範囲は、ロングレンジの神機使いにも容易く手が届く。
ようやく、銃を扱えるようになったアリサには、少しばかり荷が重い相手と言えよう。
かといって、クアドリガを相手にするのも無謀と言えるものだ。
あれもまた、遠距離攻撃に比類なき威力を発揮するアラガミだ。
戦車を彷彿させるあの巨体から繰り出される、
えげつない近代兵器(ミサイル)の猛攻は、熟練の神機使い達でも手を焼く。
相手にするならば、せめて白兵戦をこなすことが出来るようになってからの方がいいだろう。
だとすると…
一枚のオーダー表を手に取った。
コンゴウ、グボログボロの討伐任務。
今ある中では、これが一番無難なものかもしれない。
「それ…受けるんですか?」
カウンター内のヒバリが、やや心配そうな面持ちで、こちらに声を掛けてきた。
「うん、そのつもりではいるんだけど…ただね…」
ヒバリの問い掛けに、ユウは顔を曇らせる。
選ぶのならば、この任務だろう。
他二件と比べれば、グボログボロもコンゴウも、アラガミの格は下と言えるものだ。