泡沫の夢
□恋愛番長リッカさん
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…なに?あれ?
いつものように、博士に書類を渡しに、ラボラトリ区画の廊下を、
リッカが歩いていると廊下でしゃがみ込む人影を見つけた。
何してんだろ?
気分でも悪いのだろうか。
なら、目の前に医務室があるのだから、そこへ行けばいいだろうに。
…放っといてもいっか。
君子危うきに近寄らず。
酔っているのかもしれないし、変に絡まれたりしたら嫌なので、放置プレイを決め込むことにした。
と言うことで、訝しげにその人影を見ながら、リッカはその脇を通り過ぎようと思っていたのだが、
……あれ?
そこに座り込む人が、
今、自分が一番気にかけている人物であることに気付き足を止めた。
「…ユウ?」
「…ぐすっ…りっがさん?」
…うわぁ…すごい顔…
リッカが彼女に声を掛けると、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を、上げられる。
「…どうしたの?てか、何で、こんなとこで泣いてんの?」
通路のど真ん中で、しゃがみ込んで泣いてる姿は、まるで迷子になった小さい子供のようだ。
「‥ぅ…えっぐ…ぞれは…」
「あー、取り敢えずこれで鼻かみな。」
今にも、鼻が床に垂れそうだったので、手持ちのポケットティッシュを差し出した。
『あ゛りがどうございます』と、鼻声で自分にお礼を言って、ユウはズビーンと勢いよく鼻をかむ。
なんか、意中の男には見せられない姿だよね…
「…すみません。助かりました。」
「それはいいけど、一体どうしたのさ?
…博士と、何かあった?」
「〜〜〜っ。」
「わわ、ちょっ泣かないでよ!?」
探りを入れるつもりで、適当に言ったことが、どうもビンゴだったらしい。
自分の言葉を聞くと、ボロボロとユウは再び泣き始める。