泡沫の夢

□恋愛番長リッカさん
1ページ/5ページ

…なに?あれ?

いつものように、博士に書類を渡しに、ラボラトリ区画の廊下を、
リッカが歩いていると廊下でしゃがみ込む人影を見つけた。

何してんだろ?

気分でも悪いのだろうか。

なら、目の前に医務室があるのだから、そこへ行けばいいだろうに。

…放っといてもいっか。

君子危うきに近寄らず。

酔っているのかもしれないし、変に絡まれたりしたら嫌なので、放置プレイを決め込むことにした。

と言うことで、訝しげにその人影を見ながら、リッカはその脇を通り過ぎようと思っていたのだが、

……あれ?

そこに座り込む人が、
今、自分が一番気にかけている人物であることに気付き足を止めた。

「…ユウ?」

「…ぐすっ…りっがさん?」

…うわぁ…すごい顔…

リッカが彼女に声を掛けると、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を、上げられる。

「…どうしたの?てか、何で、こんなとこで泣いてんの?」

通路のど真ん中で、しゃがみ込んで泣いてる姿は、まるで迷子になった小さい子供のようだ。

「‥ぅ…えっぐ…ぞれは…」

「あー、取り敢えずこれで鼻かみな。」

今にも、鼻が床に垂れそうだったので、手持ちのポケットティッシュを差し出した。

『あ゛りがどうございます』と、鼻声で自分にお礼を言って、ユウはズビーンと勢いよく鼻をかむ。

なんか、意中の男には見せられない姿だよね…

「…すみません。助かりました。」

「それはいいけど、一体どうしたのさ?
…博士と、何かあった?」

「〜〜〜っ。」

「わわ、ちょっ泣かないでよ!?」

探りを入れるつもりで、適当に言ったことが、どうもビンゴだったらしい。

自分の言葉を聞くと、ボロボロとユウは再び泣き始める。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ