泡沫の夢

□彼と彼女の恋愛事情?
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「…ふああぁっ。」

大きな口を開け、あくびをする女性。

夜明け前、この時間帯が彼女、楠リッカの仕事の始まる時間だ。

出撃するゴッドイーター達の神機の最終調整から、神機パーツの納品のチェック、部品の発注書の提出…今日もやることが山積だ。

「…さて。」

まずは、パーツの納品書を、サカキ博士のところに持って行かないと。

「よっし!今日も頑張るぞ!」

気合いを入れ、リッカはラボへと足を向けた。






「おはようございます、博士。この納品書に目を通しておいて…」

ラボの扉を開け、書類を片手にリッカが中に入ると、いつものモニター付きのチェアではなく、
珍しくソファーの方に座るサカキの姿が目に入った。

「あれ?博士、何でそんなとこに…」

座っているのかと、尋ねようとした自分を、
振り向いた博士が、人差し指を口に添え、静かにするようジェスチャーでそれを伝える。

…何?

何だか普段と違う彼の雰囲気に、違和感を感じる。

博士は、再び前に顔を向き直すと、何かを見つめるように視線を下に向けていた。

彼が何を見つめているのか、好奇心にかられ、
リッカは、そろそろと近づき、それを確かめてみる。

「……あ。」


そこにいたのは、一人の少女。

幼い雛鳥のように、博士の膝に頭を預け、身体を丸めて眠っている。

「…ユウ?」

「そう、やっと寝付いてくれたところなんだ。
ろくに睡眠もとってなかったようでね。
起こさないように、してあげてくれるかい?」

博士は、微笑みを浮かべながら、そう言って自分に頼んだ。

…うわぁ。

その笑顔がいつもと違っていて、リッカは更に驚いた。

‥びっくりだ。この人もこんな顔するんだ。

こんな、誰かを慈しむような表情を。
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