泡沫の夢
□first impression〜ブレンダンの場合
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不思議な子だ。
彼女と任務をこなし、ブレンダンが受けた印象はそういうものだった。
戦闘においては機敏に動き、敵を刈る狩人の顔を、
話をすれば年相応の至って『普通の少女』の顔を彼女は見せる。
ただ一度の任務で、行動しただけのごく浅い関係なのだが、少女のことがブレンダンの頭には妙に残っていた。
「あっ、ブレンダンさん。こんにちは。」
カフェテリアに、昼食をとりに来たであろう彼女が、先にここにいた自分を見つけ声を掛けてきた。
ついさっきまで、この少女のことを考えていたので、少し驚く。
「…ああ、ユウか。昼飯か?」
平静を装いつつ、彼女にそう応える。
「はい。ちょっと遅くなちゃったんですけど。」
隣いいですか?と、聞くユウに椅子を引いて、そこに座るように勧めた。
「この間の任務では、付き添っていただいて、ありがとうございました。
ブレンダンさんのお陰で、無事任務を遂行することが出来ました。」
ありがとうございますと、もう一度言ってユウはブレンダンに笑いかけた。
ユウは、よく笑う子だと思う。
エリックのことで、それなりに辛い思いをしただろうに。
それでも、笑顔を忘れないようにしている。
強い子だなと、素直に感心した。
「いや、礼を言われるようなことはしてない。
あれは、お前たちの実力が勝ち取った勝利だよ。」
「えへへ、ありがとうございます。でも、褒めても何も出ないですよ?
あー、でもすごく嬉しいので、ブレンダンさんにはこれを進呈します。」