波乱万丈
□百聞は一見に如かず
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「今どこに住んでるの?」
「メアド交換しよー!」
「前原って彼女いんの?」
『今の質問した奴後で表出ろォー』
みんながみんな、なかなかに個性的な由宇に質問の嵐を繰り広げた。
容姿も良く、性格は極めて陽気な由宇は、転校1日目にしてはクラスのみんなと打ち解けている。
『俺女なんだから、彼女とかフツーありえなくね?なァー兄弟っ!』
「俺にお前みてぇなバカな兄弟はいねぇよ。つーか女だとか言うなら机の上であぐらかいて座んな」
「ははっ!由宇って面白いのな!」
由宇は、近くにいた銀髪の少年にそう言うと、少年―――言わずもがな、獄寺だが―――獄寺は、ケッと言いながら冷たく吐き捨てた。
一方、対照的な山本は爽やかに笑いながら由宇の肩を叩いている。
『爽やかボーイだなお前』
「え?意味わかんねーのな!!そんなことより俺、山本 武ってんだ!よろしくなっ」
『ん?あれ?今なんか黒い何かが垣間見えた気が……』
「よろしくなっ」
『……お、おお、よろしく……?』
微妙な顔でそう言う由宇に、やはり山本はにこやかなままだった。
由宇はさっと視線を獄寺へ移し、『兄弟は何ていうんだ?』とさっさと話題を変えてしまった。
獄寺は「ケッ」とそっぽを向いて、答えようとはしない。
そんな獄寺の肩をポンと叩き、やはりにこにこ笑いながら山本が口を開いた。
「コイツは獄寺隼人ってんだ!」
「人の名前勝手に教えてんじゃねぇよこの野球バカ!!」
「ははっ!悪ぃ悪ぃ!!」
全然悪いと思ってなさそうに山本は謝り、獄寺は舌打ちしながら嫌そうな顔をした。
『ところでよぉ、ちょっと気になってたんだけど』
「ん、なんだ?」
学校のことなら、なんでも答えるぜっ!とどこまでも好青年な山本が言うと、由宇もにこやかに笑いながら言った。
『俺の隣にいる沢田の席。それから、教室にあるもう2つの席。なんでこんなにズッタズタなんだ?』
凍りついたようなクラスの空気の中、やはり由宇はにこにこと笑ったままだった。
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