波乱万丈
□不思議な転校生
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並盛中、校門前。
そこに、ニコニコともの凄い爽やかな笑顔と無表情でトンファーを構えている2つの影があった。
『いやぁ、転校初日に遅刻するなんて思いませんでしたよ!!』
まず爽やかな笑顔を浮かべる転校生―――前原 由宇は、『ビックリです!!』と言いながら頭を掻いていた。
「うん。僕も転校初日でそんなに咬み殺されたいと願ってきた生徒は初めてだから驚いたよ」
次に無表情でトンファーを構える並中の秩序―――雲雀 恭弥は、「とにかく君はここで咬み殺す」と物騒なことを言っている。
由宇はそんな雲雀に苦笑し、両手をひらひらと振って宥めるような仕草をして見せた。
『まぁまぁ!落ちつけよ、えーと……トンファー伯爵』
「変なあだ名つけないでくれる?……はぁ、…もういいや。萎えた」
『お、マジか。サンキュー伯爵!!』
「…雲雀恭弥だよ。」
呆れたように名前を教えた雲雀は、「早くしないとSHR遅れるよ」と言って去って行った。
『じゃーな恭弥っ!!さて、と……マジで遅刻かもなっ』
そう言って相変わらず爽やかな笑みを浮かべる由宇に、急ぐ様子はまったく見えなかった……。
職員室へ行けば、先生になぜ遅刻をしたのか聞かれた。
しかし、雲雀の名はここでも有効だったようで、由宇の「ひばりんとコントかましてました!」という笑顔でお咎めなしとなった。
そのまま、担任だという佐伯 彰に連れられ、廊下を歩いて行く。
「ここがお前の教室だ」
そう言って指をさしたプレートを見れば、2−Aという文字があった。
「それじゃぁ俺が呼んだら入ってくるように」
『ウィ』
「それ返事じゃないぞ」
軽く由宇に突っ込みを入れて先生は教室へ入った。
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