しゃぼん玉
□賑やかな図書室
1ページ/2ページ
本日は、図書室にて委員会だ。
と言っても、ただカウンターに座って返却と貸出をするだけだが。
放課後の図書室はあまり人がいなくて、少々寂しくもある。
開け放った窓から聞こえるグラウンドの声が、実に青春らしい。
私は運動部の掛け声をBGMにしながらカウンターで本を読んでいた。
すると、扉が開く音がし、同時に少々騒がしい声が聞こえる。
「10代目っ!俺、10代目のためにありったけの資料を集めてきます!!」
「ちょっ、そんなにたくさんいらないから!というか、図書室だから静かに……!」
なるほど、1人は若干不良、1人は常識人か。不思議な組み合わせである。
私はそんなことを思いながら、入ってきたススキ色と銀色の頭をぼーっと見ていた。
「あ……あの、これ、借ります……」
『あ、はい』
返事をして顔を上げると、そこにはススキ色の髪の少年がいた。
私はあ、と思った。
どこかで見たことのある頭だなぁと思っていたが、そう言えば彼は……、
『沢田くん……だよね』
「え、?な、なんで知って……」
『あ、1年の時同じクラスでした』
「え、えぇっ!?」
ご、ごめん!と慌てて謝る沢田くんに、私も思わず慌てて手を横に振った。
『そ、そんな気にしなくていいよっ。そんなに目立つ方じゃなかったし』
「本当、ごめんね……?」
『ううん別に、』
いいよ、と言おうとしたら、傍らにいた少年がギロリとこちらを睨んできた。
「てめぇ、何10代目に謝らせてんだ!!」
『えぇ!?』
「ちょっ、獄寺くん!俺が悪かったんだから……!」
「いや、いけません10代目!どこの誰だか知らねぇが、10代目に頭を下げさせるような輩はいちゃいけないんです!!」
『え、あの……私、君とも同じクラスだったけど……』
獄寺くん、だよね?と確認をとれば、獄寺くんは拳を固めたままぴたりと止まった。
というか、沢田くんと同じクラスだった、って時点で気付かなかったのか……。
「……なんか……悪ぃ……」
『え!いや、き、気にしないで……っ』
何だろう、なんか謝られてばっかだ。
他に図書室にいた人たちは、獄寺くんを見た途端にさっさと帰ってしまった。
ここに来るのはどちらかと言うと大人しい人たちだから、彼が怖かったのかもしれない。
私は別に自分が悪いわけでもないのに、なんだか申し訳なくなってしまった。
、