短編小説
□冷たくしないで (制作中)
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フッ、と中津の息が頬に当たる。思ったよりも生暖かいそれに覚はビクリと震えた。
「お前が悪いんだぜ?」
「…ぁ…‥」
「……覚悟しな」
覚は息を飲んだ。渇いた喉の奥がヒクリと小さく痙攣した。
襟元にかかった指が服を左右に開く。ビリッと引き裂かれる音と共に釦が数個飛び散った。
覚は目を閉じて、首を反らす。僅かにひやりとする風が胸元を過ぎていった。
「…へぇー、やっぱり白いんじゃん」
スポーツなどをすることなく、外を出歩くこともない覚の肌は焼けていない。特別色白ではないが、肌が薄いためか白く写る。
筋肉がほとんどなく、肋がうっすらと浮く体は男としては頼りない。そんな身体を見られていることに、覚は羞恥心を感じた。
「細ぇなぁ…」
「っ──、見ないでくださ…ぃ//」
中津の指が脇腹をなぞる。不確かな感触に息をつき、覚は小さく首を振った。
「何言ってんの。これからじゃん…」
ククッと笑って、中津は確かめるように腹の辺りを撫で回した。それに覚は何も言えなくなり、目を閉じて顔を反らすのが精一杯だった。
緊張と恐怖の為に肌はしっとりと汗ばんでいる。それが反って掌に吸い付くような感触を与えていた。
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