短編小説

□冷たくしないで (制作中)
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「み…見てました…」

どうしても声は震えてしまう。覚はそれと同じく震える瞳で中津を見上げていた。

「…何を見た?」
「…そ、それは……」

覚はニヤリと笑った中津から目を反らした。目を閉じると覚が見た光景が瞼の裏に映し出される。

「……ぁ///」

覚はボッと顔を染めた。思い出した光景は余りにも生々しくて、免疫のない覚にとっては恥ずかしいことでしかない。
その様子に中津はくくっと喉を振るわせた。

「どうした?高橋、答えろよ」
「そ、そんな…//」

顎を捕られ、真正面から見下ろされる。細められた目が覚を凝視し、視線を外すコトを許さない。

「これからお前に同じコトをしてやるよ」
「え……?」

覚は聞き間違えか、と目を丸くする。しかし、ククッと再び笑うと中津は繰り返した。

「同じコトをするんだよ…、判るだろ?高橋…」
「お、なじ……で‥きなっ…、っ!」

覚は理解すると目を見開いた。中津は覚にあの行為を強いるつもりなのだと。
起き上がろうとすると縛られた腕が軋んだ。ガタッと机が鳴ったのが教室に大きく響いた。
痛みに眉を寄せた覚に中津が跨がる。腰を跨いで、肩を抑えると顔を近づける。

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