短編小説
□罪よりも罰
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「そうです。手を休めないで」
男は満足げに頷いて、笑みを深めた。端正な顔立ちの根岸は笑うだけで華やかさが増す。
茅ヶ崎はクッと唇を噛み締めながら、自慰をする。強制されたとは云え、この可笑しな状況が未だ飲み込めていなかった。
「ふ…っ、んん!!」
甘い声が茅ヶ崎の口から漏れる。我慢しようと口を閉ざしても、少しも役には立たない。
自分から放たれる声なのか、茅ヶ崎自身信じられないでいる。女のような甘えた声が喉から零れていくのだ。
「………」
根岸は見下ろしたまま何も言わない。まだ、自慰をする手の上には根岸の足が置かれていたけれど。
「っふ、ンッ…っ//」
茅ヶ崎は目を閉じた。
見下ろしてくる視線は強く、茅ヶ崎を射るようで。恥ずかしくて仕方がない。なのに、見られているのが気持ちよく感じて、視線から目を反らした。
しかし硬くなるペニスも、溢れ出した液も、全てが根岸に晒されているのだ。目の裏でも根岸が凝視しているのがよく分かった。
「…見られてるのって、興奮します?」
「ッア……っん、嫌…だっ、ッ!」
「そうですか?」
突然聞かれて、茅ヶ崎はビクリと躯を跳ねさせた。その拍子にペニスの先からカウパーが僅かに滲む。
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