短編小説
□幸せはすぐそこ。
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『悪い…そんな風に見れない…』
半年前、ヒデに言われた言葉だ。
ヒデと俺は中学からの親友で、高校にあがった時、俺ははずみで告ってしまった。
そして、今。
「ごめん。そんな風には見れないんだ」
俺は、最近仲良くなった女の子に告白された。
だけど、俺はやっぱりヒデが好きだから…俺はヒデと同じ言葉で断った。
あれからヒデとは、何もなかったように『友達』をしている。
『友達』は苦しいけど、ヒデで側にいたいから。
もしかしたら、あの角を曲がれば、幸せがあるかもしれないから、なんて思って。
―――
――――――
「えっ?ヒデ知らなかったのかよ?」
「マジ…で?」
「だよ。今頃ユキの奴告られてんじゃねぇ?」
俺は、 その言葉を聞き終わらないうちに席を立った。
ありえないと思った。ユキが俺以外と付き合うこと。
だから走った。
走っていくあの角の先に、ユキがいることを願いながら。
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