サムライ・ラガッツィ

□天然な君さえ愛おしい(桃晴)
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(※ 桃十郎 side)



ガチャッ



「もーもー!」



…屋上の扉が開く音。

そして男の癖に、まだ声変わりのない呑気な高い声で俺の名前を呼びながら。


俺より2歳下の幼馴染みは、フェンスにもたれかかっている俺の元へと駆けてくる。



「…なんの用だ、晴」

「また授業をサボっていたんですか?」



今は放課後。

俺が学校の授業なんかに、まともに出席する訳がないだろう。お前じゃあるまいし。



「てめぇには関係ないだろ。っていうか、何しに来たんだ」

「貴方を捜してたんです! 教室まで行っても、誰も桃が何処に行ったか知らない様子でしたから……」

「………」



そりゃそうだろ。

白髪に右頬には十字傷。

普通の奴らなら、まずびびって近づいてすら来ない。

こんな風に俺に近づいてこれるのは、恐らくこの馬鹿くらいだろう。


…それにしても…と、晴信の姿を見る。


晴信は、いつもは上にひとつに纏めている髪を肩に垂れ下がるように結わえていた。

その姿を見て、俺は眉間を寄せる。



「おい…その髪どうした」

「え? これですか? クラスの女子の皆が「こっちの方が楽だしいいよ!」…と言っていたので、このように結わえてもらいました!」

「………」



……あのクソ女共。

こいつにいらねぇことしやがって。


しかもこいつも、満面な笑顔で話すんじゃねえよ。


思わず、溜息をつきたくなった。



「……桃…?」



晴信は、俺の表情を見て不安になったのか躊躇いがちにそう問いかけてくる。



「………何だ、」



頼むから、そんな目で俺を見るな。


ただでさえ童顔な上にそんな不安そうな瞳で見られると、こっちの調子が狂うだろ。



そんな俺の感情なんて知ってか知らずか、晴信は不安そうに口を開いた。




「も…桃は、このような結わえ方は気に入らないのですか…?」




……………




なんて爆弾を落としやがるんだ。こいつは。



「別に……ただ、そんな格好じゃますます女っぽく見えるんじゃないのか」

「えぇっ!? そ…それは困りますっ!」



慌てた様子で叫んだ晴信は髪を結わえていた髪ゴムをのける。

…それに、少し…本当に少しだが、残念に思った俺がいた。



……変態かよ、俺は。



自分自身にツッコミを入れながら、俺は溜息をつくと晴信の腕を引っ張った。



「ぅわっ!? も、桃!?」

「どうせお前、自分じゃまともに結わえられないだろうが」



仕方ないからやってやる。と言うと、晴信はえ? と一瞬目を丸くさせながら顔を上げる。

そして顔をぱあっと明るくさせると、満面な笑みで言った。




「…ありがとうございますっ!」




「……っ! ///」







 天然な君さえ愛おしい




(桃? どうしましたか)

(…っ、何でもねぇから前向いてろ!)











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反省という名のあとがき

 
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