春蝶の舞
□春すぎて 夏来にけらし 白妙の
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梵天、今あなたは何をしていますか?
夏の頃は早く冬が来ないか楽しみにしていました。
苦虫を噛み潰したような顔するのでしょうか?
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数年前・冬
将棋板を囲み他愛もない会話をしながら次の手をうつ。
「さわやかな夏の訪れを感じる歌でしょ、それ。」
「はい、そうですが…
これを私たちに当てはめると冬が待ち遠しいっていう歌だと思いませんか?」
「………風邪でもひいた?」
「失礼な!
いつしか春が過ぎ夏が来てしまったという所が、冬が楽しかったと思わせると思ったんです。」
「へえ…」
「そういえば、白禄さん。
夏はまったく来ませんよね?」
「雪が溶けるとやかましい奴らが多いからね。
見られると面倒くさい。」
「王手。」
「あーくそ!
やっぱり将棋はまだ苦手だっ。
ほら、今日はあんたの番だ。
何を聞きたい?」
私はこの関係を壊したくない。
彼もそうなのだろう。
”春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山”
冬が待ち遠しいのは彼よりも私の方なのかもしれませんね。
「ほら、早くしなよ。」
今度は菓子を持って歌を詠むのもいいかもしれませんね。
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お疲れ様でした。
私の好きな百人一首を使いました。
こうすると百人一首が覚えやすいかと思いました。
11’8’4