薄桜鬼
□何でだろ 気づけば君が 一番で これを恋と 言うのかな
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「斉藤さん。巡察、お疲れ様でした」
そう言って差し出された茶が、ありがたい。
「寒いですね」
「俺もしばらく京にいたが、こんなに寒いのは初めてだ」
「今日は本当に寒いですね……」
その声が震えていることに気づく。
「こっちへ来い」
「え?」
首をかしげている千鶴を、引き寄せる。
「わわっ……」
「寒いのだろう? だったら俺で温まればいい」
「そ、そんな……///」
真っ赤になる千鶴を、可愛いと思う。
「なにも、恥ずかしがることない」
「だけど……。他の隊士さんたちには、私は男ってことになってるんですよ? 斉藤さん、男が好きだって思われちゃいます」
「別に、俺がお前のことが好きだということは本当なのだから、問題ない。男が好きと思われようが、関係のない話だ」
「私がよくないんです! 斉藤さんが、男が好きな変な人って思われるのが、耐えられないんです!!」
「俺のこと、そんなに思ってくれているのか」
「あ……///」
「嬉しいぞ」
耳まで真っ赤にし、うつむく千鶴。
「その、うまくは言えないが……。愛している」
「斉藤さん……///」
ぎゅっとしがみついてくる千鶴に、自然とほおが緩む。
「夜、暇なら俺のところに来るといい」
「……///」
気づいたときには、千鶴が俺の一番だった。
俺の中で、土方さんよりも上になっていた。
これが、恋というものなのだろう。
「いつまでも、愛している」