文
□お話つめてみました
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カイミク
「カイト兄さんって仕事選ばないよね」
「あれ、ミク。藪から棒にどうしたの?」
カイトはアイスを食べる手をとめミクをみた。
ミクはじとっとカイトを見つめている。
「ううん。もう少し選んでもいいんじゃないのかなぁって思っただけ」
「そうかな?でもミクほど人気があるわけじゃないから、受けられる仕事は受けておきたいんだ」
「……」
今でこそそれなりの人気はあるが、カイトは一時期は不良品とまで言われた。それゆえにカイトは、歌が歌えることの喜びを他のボーカロイドたちより知っている。ミクもそんなカイトの想いが分からないでもない。ただコレで納得できないのは、好きな人はカッコよくみたい、みられたいという乙女心だ。この仕事を選ばないことで世間では「バカイト」だなんて言われてしまっているのを返上してほしいのだ。
「…お兄さんは、かっこいいのに」
「ミク?どうしたの?」
心配そうに覗き込んでくるその顔の近いこと。ミクはずさぁっと後ろに下がった。電子であるはずの心臓が早鐘のように高鳴っている。
オーバーヒートを起こしてしまいそうになるのを必死に抑える。
「だ、大丈夫ッだから!」
「そう?ならいいけど…。あ、アイス食べる?」
カイトはどこからともなくアイスを取り出す。ミクはため息をつくのをぐっとこらえ「ありがとうございます…」と受け取った。
KAITO お兄さん。バカイトとか言われちゃうけど本気を出すとかっこいいお兄さん。アイス大好き。仕事は選ばない。