文
□おなじ話
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また振り出しに戻っちゃった。まったくもう。大丈夫かなぁ。ああ、もう。ちょっと返事が遅れただけなのに、すぐ怒るんだもん。
「聞いてるよ、今となりの部屋」
『あれ?俺のそばにいてくれないの?』
「四六時中いなくちゃいけないの?・・・大丈夫だってちょっと手紙書いてるの」
『俺に?』
「さぁ?どうでしょう?」
そう言えば、茶化してはいるけど少し上ずったような声で返される。心配だなぁ。
『そばにいてくれるよね?』
「でも、もう行かなくちゃ」
『話をしよう』
「・・・・・」
きっと、今僕は泣いている。彼もきっと泣いている。でもきっと泣きながら笑ってるのかもしれない。このやりとりは僕たちにとっ
て、とても可笑しいものなんだから。
「話するんでしょ?いつもの話しようよ」
情けない涙声。彼らしくないな。
いつもと同じように今日何しただとか、何考えただとか取り留めのない話をする。そのあとは彼の大好きな人間の話。その次に僕の大好きな非日常の話。
『同じ話を、よく、飽きもせずしてるよね。俺たち』
「そうだね」
『・・・・・愛してる』
「ぼくもだよ。」
世界で一番、愛してる。
『・・・・・』
「・・・さようなら」
ぷつっ。
さようなら。夕べ夢を見たよ。君の夢だった。
次会うときも同じ話をしよう。
あとがき
なんでも死ネタにしたがるのが屡斐の悪い癖。