文
□お題
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なんて不毛な、それでも恋
わたしはあの人が好き。
あの人はあの子が好き。
まずこの思いが不毛かどうかなんてのはどうだっていい。私は確かに恋をしたのだ。
「まあ〜。なんて健気なのでしょう〜。わたくし、感動の極みですわぁ」
「…それ、本当に感動してる?」
わざとらしいしぐさで涙を拭いてみせる友人を前に、私は彼女をにらんだ。釣り目で目つきが悪いといわれる私がにらむと結構な迫力になる。にもかかわらず彼女は朗らかに笑って見せる。
「もちのろんですわぁ。大事な大事だお友達の不毛な、いえいえ面白…いえ、素敵な恋ですものぉ。わたくし協力は惜しまないつもりですわぁ」
にっこりと笑っている彼女は私の恋を楽しんでいるだけだ。言葉はしに隠す気があるのか分からないほど、それがにじみ出ている。先ほど流していた涙はあながち嘘ではないようだ。ただし泣いているのではなく、笑っているのだ。彼女は顔は大変かわいらしいけど、性格に少し難がある。
「いいわよべつに!見てなさい。今に寝取ってやるんだから!!」
「まあすてき!うふふふふふ!これは泥沼の予感ですわぁ!」
パチパチパチ!と拍手する。いずれこの拍手を心からさせてやると私は決意した。