□同じ空の下で
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 もし、パラレルワールドなんてものが存在して、君と俺が会っていなかったら。そんな俺はどうなっているんだろう。今の俺はみーちゃん主体で生きている。みーちゃんの笑顔は何に変えても守らなきゃいけないもので、泣かせるなんてことがあってはいけない。その笑顔を守ることは俺の使命。出会ったときにそう感じた。でも、もし出会っていなければそう思うことはなかったわけで。じゃあどうなっていたのだろう。

「想像つかない…」
「何が?」

 俺の独り言に答える声。もちろんみーちゃんだ。
 出来上がった鍋をガスコンロにセットし、食器を取りにいく。エプロンをつけた後姿を見て、思ったことは。

「君に会えなかった不運な俺がかわいそうだ」

 やっぱり俺にはみーちゃんが必要だ。みーちゃんのいない人生なんて考えられない。食事を始めてその話を俺の向かい側に座るみーちゃんに話すと。

「そんな事ないよ。きっとそのいーくんはそこで幸せだよ」

 そういう返事が返ってきた。でも、と俺は返す。

「そうかもしれない、でも、ここの俺はそうじゃない。みーちゃんに会えなかったら幸せになんてなれない」
「……いーくんは大げさだよ。視野が狭い」
「そのくらいみーちゃんに夢中ってこと。大好きだよみーちゃん」

 今しか見えていないのは確かだと思う。でもそのくらい夢中にさせる彼女がいけないってことにしておこう。


(もし君に会えなかったら。同じ空の下にいると信じて、探しに行くよ)

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