+*short story*+

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今は10月24日。


銀時の誕生日は10日。



忙しくてお祝いしてあげられなかった。



でも素直に謝る事が出来なくて…



知らない振りをしたんだ。




「マジでお前俺の恋人かよ。あーありえねぇ」


当然の事なのに、いちいち胸に突き刺さってキーンとなる。


言わないと…

早く言わないと…


"ごめんね""おめでとう"


って。



上手く口が動かない。


「なァ…本気で知らなかった?」

「…っ…そんな…訳、…」



「…あるわけないじゃないっ」


伝わっただろうか。

こんなキツイ言い方。


あぁ…泣いちゃダメだ。

泣きながらの"おめでとう"なんて…


「ごめん…っ…ごめんね…誕生日…おめでとう」

「…んだよ。マジで知らなかったんだと思った…」


少し震えた声。


「ありがとな」



ふんわりと包まれた私の体。



「二度と言ってやらないから良く聞きなさい」


特別な日だったんだから…これくらい言ってやんないと。



「…愛してる」




だんだん小さくなっていったその5つの言葉は、
私のありったけの気持ちをつめた。


「…うぐ…っちょ、苦しっ!銀時!」

「うるせぇ…んだよ、いきなりよォ…」


あ…

きっと今、笑いながら泣いてるんじゃないだろうか。



好き。

大好き。

愛してる。



こんな恥ずかしい言葉…もう二度と言ってやらない。


「…押し倒していい?」

「…今日、だけだからね…」


遅れた誕生日の夜は甘い甘い時間。



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