短編
□雨。
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「?!」
唖然とした
雨が降っている
それなのに、雨の音がしない
「これは‥‥?」
「よォ」
思わず疑問を口にしそうになった瞬間、聞き慣れた声が空から雨のように降ってきた
「授業サボって屋上でギターか?」
「煩い」
「つれね〜なァ〜〜
せっかく雨止めてやろうと思ったのに」
軽い口調で有り得ない事を言うMZD
基、神
「なぁ」
「‥‥」
「ナ〜カ〜ジぃ〜」
「煩い」
少しイラつきながら、自分より頭一つ分高い位置にある顔を見上げる
だからといって頭一つ分身長差があるというワケではない
もしかしたらナカジの方が高いかもしれない
それでも見上げなければならないのは、神の足が地面についていないからだ
「歌、歌って」
「ぁ?」
「ナカジ見てたらナカジの歌が聞きたくなった」
空中に寝転がるような体制で浮いている神は、手が隠れるほどブカブカの袖を少し捲り、その両手でナカジの両頬を包みこんだ
「ッ‥‥」
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