短編
□雨。
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ぽつり
「‥‥」
ぽつりぽつり
「ちっ‥‥」
どうにもやる気の出ない授業をサボり、ギターでも弾こうと思って屋上への扉を開けた時
予想外の雨
「(ふぅ‥‥)」
授業の始まりを告げるチャイムが鳴ったのは10分くらい前
『遅刻者』として授業を受けたとしても、元々やる気がないのだから睡魔に負けるのは目に見えている
「(どうしたもんか‥‥)」
雨に対する怒りを込めて閉めた屋上への扉に背を預けながら、物思いにふける
「(保健室は後々メンドイからパス‥‥、空き教室には鍵がないから入れない‥‥、音楽室は授業中‥‥)」
‥‥ふと
何か、違和感を感じた
今までと何ら変わらない筈なのに、何かが違う違和感
「‥‥?」
別に誰かが来たワケじゃない
そもそも今は授業中だ
誰かがくるハズがない
(まぁ、タローあたりならあるかもしれないが)
じゃあ、何が‥‥
「‥‥ぁ」
寄りかかっていた扉
曇りガラスがはめ込まれているので外は見えないが
雨音が、消えていた
「(通り雨だったのか‥‥?)」
なにはともあれ、雨さえ止んでくれればギターが弾けるのだ
細かいことは気にせずに屋上へのドアノブに手をかけた
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