断章

□貴方のお家は彼処でしょう?
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「アバッキオ来てないか!?」
「来ていないな」


ずぶ濡れで駆け込んできたブチャラティと言葉少なに答えを返すリゾットの両者に呆れたような目を向け、ホルマジオはとりあえず、ブチャラティをリビングに案内した。


「珈琲でいいか?」
「悪い」
「気にすんな。あと、ホレ、タオル」


外を見てみれば、どしゃ降りの雨。
傘もさしていなかったらしいブチャラティはまさに濡れ鼠の様相だった。


「何かあったのか?」
「アバッキオと喧嘩をしたんだ」
「喧嘩ぁ!?」

予想もしていなかった答えに、ホルマジオとイルーゾォは顔を見合わせる。

ブチャラティのそばにはいつもアバッキオがいて、
ブチャラティの目線の先にはいつもアバッキオがいる。
そんな2人が喧嘩なんて、どうにも想像が出来ない。
そしてそれは、リゾットも同じのようだった。


「原因は?」
「……………」
「言えないようなことか?」
「つまらないことだ」
「…そうか」

喧嘩の理由が分からないのでは、アバッキオを説得することもブチャラティにアドバイスすることも出来ない。
どうしようかと頭を抱えながら、リゾットはいつのまにやらこの状況を自分に押し付けるべく避難したホルマジオとイルーゾォを睨みつけた。






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