雪月繚乱 第三幕《BL》
□生まれ変わるとき
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――昼。
漸く少しは身体を動かせるようになり、部屋を出ようとした安月は、外側から鍵をかけられていることに気づく。雪夜は本気でこの家に縛り付けるつもりだ。
安月はしかし、落ち着いていた。朝は取り乱したりもしたが、考えれば雪夜を拒む資格など自分にはなかった。彼をそうさせたのは、外ならぬ安月自身なのだ。
とは云え――。
「もう無理! あんなの、身体が壊れるーっ」
あの鬼のような激痛のおかげで、朝ご飯もほとんど喉を通らなかった。安月は突っ伏したままベッドを殴りつけた。
きっともうすぐ雪夜が戻ってくる。まさか昼に何かするとは思えなかったが、安月は部屋の片隅に避難した。
しばらくして、足音が聴こえてくる。安月はウトウトとしていた顔をあげた。
金属の擦り合う音がして、部屋の扉が開いた。安月は慌てて、よろけながら立ち上がると、顔を覗かせた雪夜の横を通り抜けようとした。
「……これ以上我慢できないよ!」
安月は引き留めようとする雪夜を、もじもじしながら恨めしげに睨みつけた。もうずっとトイレに行かせてもらってない。焦りは限界にきていたのだ。
「…そうか」
やっと理解した雪夜が、いきなり安月を抱き上げてきた。
「な、何すん――」