雪月繚乱 第三幕《BL》
□生まれ変わるとき
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「……あ……」
気を失う前に、雪夜に何をされかたを思い出し、ベッドに突っ伏した顔を青くした。
そもそもの発端は何であれ、無理矢理犯された事実は衝撃が強すぎた。腰に痛みが走るたび、軽い殺意が胸にのぼる。
しばらく身体を横たえていると、ふと昨日は縛られていた両腕が自由になっているのに気づく。
シャツがクッションになっていたのか、跡は残っていない。見れば洗い立ての大きなシャツを身につけていた。
汗だくで気持ち悪かった肌は洗い流され、清潔な香りが鼻腔を掠めた。
「…いつの間に」
どこかひんやりとした感覚に、布団の中の二本の足をちぢこませる。途端に痛んだ足に緊張が走る。
「痛い……」
情けないような、悔しいような気分がして、目尻に涙が滲んだ。
と、足音が聴こえる。この部屋の主が戻ってくる。
安月は思わずベッドで腰を引いた。それは目測を誤り、上半身を支える間もなく床に落下した。
「すごい音がしたな…平気か?」
上から雪夜が覗いた。安月は腰と背中を打ち、ピクリとも動けない。