華鬼
□序章
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序章――――――――――――――――――
15年前。
「入れ」
障子を開け少年は自分より先に部屋にいた二人を見た。
二人に声を掛けようと思ったが中の空気がそれを許さなかった。
どうしてこんなに空気が張り詰めているのか分からず、視線を奥にやると憤怒の男がひとり、太い腕を組んで二人の前に胡坐をかいて座っていたのだ。
「そこへ掛けろ」
男は二人の座っている横を指さし、再び腕を組んだ。
少年はそれに従い目の前に座っている男を見上げた。
男は三人がそろったのを確認し重い口を開いた。
「……あの馬鹿は女に全くと言って興味がないようだ。 だからと言っては何だがあいつを無視して花嫁を決めた」