感謝とお礼

□7000hitのお礼の品
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「次や、棒を戻してな」


光晴の手に再び戻す。
今度は取る位置をみんな変えた。


「せえの!」


「やった! 僕が王様!」


はしゃぐ水羽に皆が彼の命令に耳を傾ける。


「それじゃあ……2番が4番をお姫様だっこ!」



「……2番は俺や。 4番誰?」


視線を彷徨わせ、隣にいる麗二に視線を合わせると首を振られた。


「それじゃあ、美咲ちゃんか?」


「いいえ、私、3番です」


「それじゃあ、明ちゃんか?」


「いいえ、私じゃないです……華鬼さんの分……」


華鬼は自分で引かないで明に任せていたので、明の隣に腰をかけて動かなかった。


「…華鬼さんが4番です」


「何ぃ?! 却下じゃ! 却下!」


「あ…それは僕も見たくないから却下。 じゃあ、変える。 ええ…そうだな…3番が2番をビンタしようか」


「え………私が光晴先輩をビンタ?!」


彼の言葉を反芻し、彼の顔をじっと見ると彼はさっきの光晴同様ににやにやと笑っていた。


「美咲ちゃん、これはゲームや。 何も考えんでええ。 思いっきりくるんや」


「そ、そんなぁ」


「美咲、グーで殴っちゃえ」


水羽は さっきのお返しで殴っちゃえ、と口を動かした。 それを見てしまった彼女は教条を固める。


「美咲ちゃん、来い!」


「……す、すみません!」


目を瞑り、右手を振りかざして叩いた。
すると、意外と大きな音が響き渡った。


「……光晴、大丈夫? 結構良い音したけど」


「……だ、大丈夫や」


叩かれた頬は赤くなり、彼の眼鏡が少しずれた。


「ご、ごめんなさい……!」


「ええって。 美咲ちゃんは気にすることなんかないで?」


「す…すみません…」


「はい、じゃあ次行こう」


気を取り直して水羽は割り箸を集め、手におさめた。



「じゃあ…せえの!」



「…………?」



全員拾い上げたのに誰ひとりとして反応しない。


「あ、華鬼さん、王様です」


「…………」


華鬼は明の持つ割り箸を見て、目を丸くした。 まさか、王様になるなんて思っていなかったのだろう。


「………3番は俺の名前をさん抜きで呼べ」


「?!」


その言葉に明の顔が赤くなる。


「………か、か……か…華鬼……」


さん、と心で付けくわえて何とか呼び終えると華鬼は満足そうに微笑み、明をおぶった。


「な、何や?! 華鬼! まだ2回戦あるで?!」


そう光晴は叫んでも華鬼の耳には入らず、満足な表情を浮かべて部屋を出て行ったのだった。




おわり


※次はあとがきです。
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