薔薇

□放課後ストレンジャー
1ページ/2ページ


「山田って、プラナリアに似てるって言われない?」
「……は?」

 わけのわからない発言を受けて、俺の頭の中で回想が始まった。



 放課後、俺は用事があって先生のところへ行った。
 それが終わって教室に戻ると、大概はもう部活へ行っているか、帰っているかだ。この時間には、教室に人が居ないのが当たり前。
 今日は例外が俺。と、何故かもうひとり。
「……春風?」
「あ、山田」
 春風新。なんとも爽やかな名前だなぁ、とこいつを見たとき思った。
 それに、名前に合った顔も持っていらっしゃる。女がキャーキャー言うのも分かる、サラッとした爽やかなイケメン。
 まぁ、世界が違う人間だよな。そう思っていたし、実際ほとんど関わりもない。
 なんでコイツが残ってんだろう?
 確か帰宅部じゃなかったっけ。なんか用事があったのかな……彼女待ってるとか?
 そんなことを考えながら、自分の席へと進む。
「山田今帰り?」
「あ、うん」
「山田って帰宅部じゃなかった?」
「そうだけど、ちょっと用事で」
 ごそごそ自分の机の中を探って、持って帰るべきものを鞄に入れる。
 そんな作業をしながら春風の問いかけに答えていた。
 ようやく鞄に必要なものを詰め終わり、机の中から視線をはずす。
 重くなった鞄を肩にかけながら正面を向いたら、俺の目に入ったのは春風の姿だ。
 春風はジッと俺の方を見ていた。ムダに目ヂカラあるからちょっとビビる。
「えっと……なんか俺に用、かな」
「なあ、一緒に帰らない?」
「…………は!?」
「え、だめ?」
「だ、だめじゃないけど……えっ俺と?? え?」
「うん」
 コクン、と確かに春風の頭が縦に振られるのを見たので、聞き間違いではないらしい。
「あ、じゃあ……春風は帰りの支度……」
「出来てる」
「そっか……。か、帰ろうか?」
「うん」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ