薔薇
□放課後ストレンジャー
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「山田って、プラナリアに似てるって言われない?」
「……は?」
わけのわからない発言を受けて、俺の頭の中で回想が始まった。
放課後、俺は用事があって先生のところへ行った。
それが終わって教室に戻ると、大概はもう部活へ行っているか、帰っているかだ。この時間には、教室に人が居ないのが当たり前。
今日は例外が俺。と、何故かもうひとり。
「……春風?」
「あ、山田」
春風新。なんとも爽やかな名前だなぁ、とこいつを見たとき思った。
それに、名前に合った顔も持っていらっしゃる。女がキャーキャー言うのも分かる、サラッとした爽やかなイケメン。
まぁ、世界が違う人間だよな。そう思っていたし、実際ほとんど関わりもない。
なんでコイツが残ってんだろう?
確か帰宅部じゃなかったっけ。なんか用事があったのかな……彼女待ってるとか?
そんなことを考えながら、自分の席へと進む。
「山田今帰り?」
「あ、うん」
「山田って帰宅部じゃなかった?」
「そうだけど、ちょっと用事で」
ごそごそ自分の机の中を探って、持って帰るべきものを鞄に入れる。
そんな作業をしながら春風の問いかけに答えていた。
ようやく鞄に必要なものを詰め終わり、机の中から視線をはずす。
重くなった鞄を肩にかけながら正面を向いたら、俺の目に入ったのは春風の姿だ。
春風はジッと俺の方を見ていた。ムダに目ヂカラあるからちょっとビビる。
「えっと……なんか俺に用、かな」
「なあ、一緒に帰らない?」
「…………は!?」
「え、だめ?」
「だ、だめじゃないけど……えっ俺と?? え?」
「うん」
コクン、と確かに春風の頭が縦に振られるのを見たので、聞き間違いではないらしい。
「あ、じゃあ……春風は帰りの支度……」
「出来てる」
「そっか……。か、帰ろうか?」
「うん」