百合
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「あんたらレズ?」
仲が良すぎて、聞かれたことがある。
「まさか」「そんなわけない」
答えはキッパリしたものだった。
そりゃあ、好きだ。
仲がいいとも思っている。けれどそれは飽く迄友人として、である。
榛奈には少し前まで彼氏が居たし、私にも今気になっている男子が居る。恋愛対象はつまり男であるから、榛奈をそういう対象で見た事は無い。
「どこをどう見たらそんな言葉が出るのか分かんない」
「いや、アンタ榛奈膝に乗っけて抱きしめながらそんなこと言われても説得力と言うものが……」
友人は苦笑して、私たちを指さす。
そんなことを言われても、これが私たちの日常だった。
「美那子にぎゅってしてもらうの好きなの。それだけだよー?」
榛奈が笑う。
そうだ、私も榛奈を抱きしめるのが好き。女の子特有の柔らかさと、優しい匂い。榛奈をぎゅっと抱きしめると、幸せになれる。
それだけ。
「あんたらってほんと……」
私たちを呆れたように見ながら、友人はため息を吐いたけれど、これが私たちにとっては普通で、私たちは大切な友達同士、それは事実なんだから仕方ない。
「美那子ー」
「んー?」
「また言われちゃったねぇ」
榛奈が膝のうえから私を見上げて、言った。
「あいつはそんなに私たちをレズにしたいのかな」
ぷっ、って榛奈が噴き出して、私もつられて笑った。
「仲好過ぎるとレズになるのかな?」
「違うでしょ」
「だよねえ。でもね、美那子」
「ん?」
「もしもこの関係がそう言われるなら、私は変える気ないから、レズでもいーや」
にぱっ、と迷いない笑顔で榛奈は言う。
一瞬目を瞬かせ、これまたその言葉の意味を理解すると、私は笑って答えた。
「そうだね。なんて言われてもいいよ、私も榛奈がいちばん大事」
2012/11/05
行き過ぎた友情くらいの、百合。
書きたいな、って言っててやっと書き終わったので。